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ワクチンについて

 ワクチンは定期接種として用紙が送られてくるもの(四種混合、BCG、Hib、肺炎球菌、MR、日本脳炎、2種混合、水痘)と任意接種としてご両親が各医療機関にて自費で接種するものがあります。日本脳炎は“積極的に接種を勧めない”という期間がありましたが、2009年から再び定期接種となりました。未接種の方がいらっしゃると思いますので母子手帳でご確認ください。この中でご質問の多い水痘、おたふく、インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン、肺炎球菌ワクチン(プレベナー)、ロタウイルスワクチンについてご説明したします。

水痘ワクチン

 水痘は健康な小児では一般に軽症ですむことが多く、治療薬もあります。しかしアトピー性皮膚炎などがあると、掻き壊して痕になったり感染を起こしたりします。稀に肺炎、肝炎、小脳炎、心室炎、血小板減少性紫斑病を起こすことがあります。1から14歳までの死亡率は1/10万人ですが、15〜19歳では2.7/10万人、30〜49歳では25.2/10万人となります。水痘ワクチンは麻疹ワクチンほど防御率が高くありませんが、接種した人で水痘に感染したのは19.%、そのうち90%は発疹が50個以下の軽症でした。副反応は注射部位の発赤や軽微発熱が7%、強いアレルギー反応や血小板減少性紫斑病が1/100万人です。

おたふくかぜワクチン

 おたふくかぜは耳の下が腫れて痛くなるだけではなく、原因のウイルスが全身の臓器を侵して神経系組織と内分泌系組織(耳下腺、顎下腺、睾丸、卵巣、膵臓など)に炎症を起こしやすい病気です。水痘と違い治療薬はありません。合併症として多いのは髄膜炎で1-3%ですが後遺症は残しません。脳髄膜炎は後遺症を残すことがあり1/5,000人、難聴は最近の調査では1/100〜500人(一側性93.4%、両側性6.6%)で予後はよくありません。その他睾丸炎、卵巣炎、膵臓炎、腎炎などがあります。ワクチンの防御率は麻疹ワクチンほど高くありませんが、抗体が上昇する割合は80〜98%です。副反応としては軽い耳下腺の腫脹が2〜3%、髄膜炎が1/6,700〜13,700人ですが重症になることは稀です。血小板減少性紫斑病が1/100万人です。おたふくかぜにかかるピークは4〜5歳なので、接種するなら1〜2歳がよいでしょう。

インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン

 細菌性髄膜炎の原因となる細菌の中でインフルエンザ菌b型(Hib)に対するワクチンが海外100カ国以上で使われています。Hibに感染した場合多くは無症状かいわゆる“かぜ”の症状ですが、中には喉から血液、全身へと感染が拡大し、重症になると化膿性髄膜炎を起こすことがあります。日本では5歳未満の8.6〜8.9/10万人(年間500-600人)が Hib髄膜炎にかかり、この中で5%が死亡し、25%に知能障害や言語発達遅延、てんかんなどの神経学的後遺症が残っています。では、なぜ日本では導入されなかったかのでしょうか。Hib髄膜炎頻度がアメリカ(25/10万人)などより少なく抗菌薬の治療が可能と考えられていたからです。しかし、早期に診断することが難しく、髄膜炎を発症してからの治療には限界があります。また近年Hibの耐性菌が増加しています。日本でも2008年12月から任意接種が始まりました。望ましいワクチン接種は生後2ヶ月から7ヶ月未満で初回を開始し4-8週間隔で3回、その後1年後に追加接種1回です。7ヶ月以上1歳未満では初回を2回にすることができますが、1年後に追加接種が必要です。1歳以上5歳未満では通常1回で効果があるとされています(海外のデータ)。副反応は接種部位の発赤や腫脹で、数%に発熱がみられます。製造工程に牛由来の成分が使用されていますが、ワクチンが原因でTSE(伝達性海綿状脳症)になったとの報告はありません。

肺炎球菌ワクチン(プレベナー)

 2010年3月より肺炎球菌ワクチン(プレベナー)の任意接種が始まりました。小児の細菌性髄膜炎の50%はHib(インフルエンザ菌b型)によるものですが、20〜30%は肺炎球菌が原因です。また肺炎球菌は一般的な風邪の菌で、中耳炎、副鼻腔炎、肺炎などの原因ともなります。近年は耐性菌が増加し、抗菌薬による治療が難しいことが問題になっています。肺炎球菌は約90種類ありますがこの中で体の深部に侵入しやすい7種類に対するワクチンがプレべナーです。2000年以降97ヵ国で使用され、45ヵ国では定期接種となっています。生後2ヵ月から接種可能です。詳しくはhttp://haienkyukin.jp/、または直接当院にお問い合わせ下さい。

ロタウイルスワクチン

(経口弱毒生ワクチン)
任意接種(自費)・個別接種です。 
ロタウイルスは重症脱水を伴う小児胃腸炎の主要な原因ウイルスです。日本では11月から4月に流行し、1〜2日の潜伏期間を経て急に嘔吐、下痢、発熱という症状が出現、2〜7日ぐらい続きます。5歳までに入院する確率は1/15〜50人と考えられています。脱水による電解質異常や低血糖のほか脳炎、脳症、けいれん、腎不全をきたす事があります。
ワクチンは経口投与で2種類あり、投与回数が違います。両者とも安全性は高く、1回目は生後6週〜14週+6日までに接種します。ロタリックスはヒトロタウイルスで頻度の高い1種類(G1P)に対するもので、2回接種です。感染を85%、重症化を85〜100%防ぐ事ができます。ロタテックはウシとヒトのロタウイルス遺伝子を組み合わせた5種類に対するもので、3回接種です。重症化を98%防ぐ事ができます。
詳細はhttp://www.know-vpd.jphttp://idsc.nih.go.jp/vaccine/vaccine-j.htmlをご覧ください。

その他のワクチンの補足説明
肺炎球菌ワクチンの追加
肺炎球菌には 93 種類の血清型があります。
1. 小児の肺炎球菌感染症(細菌性髄膜炎、肺炎など)
 2013年11月から従来の7価ワクチン(PCV7 :7種類肺炎球菌に予防効果があるワクチン)が13価ワクチン(PCV13:13種類肺炎球菌に予防効果があるワクチン:プレベナー13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン))に切り替わりました。
2. 成人の肺炎球菌ワクチン
平成26年10月1日から、高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)が定期接種となりました。

B型肝炎ワクチン
化血研製の国産ワクチンであるビームゲンと、アメリカのメルク社製の輸入ワクチンである、ヘプタバックス‐Uがあり、その違いはビームゲンもヘプタバックス‐Uも、遺伝子組み換え技術を用いて、酵母菌に産生させたB型肝炎の表面の蛋白質を、精製してワクチンにしたものです。
つまり、製法は基本的には同じで、生ワクチンではないので、ワクチンでB型肝炎に罹るという心配はありません。
両者の一番の違いは、元にしたウイルスの抗原の違いで、ビームゲンは日本でこれまで流行の主体であった、C型という遺伝子型の抗原を使用していますが、
ヘプタバックス‐Uは、海外で流行しているA型と呼ばれる遺伝子型の抗原を、使用しています。
2種類のワクチンのもう1つの違いは、その添加物で、国産のビームゲンには、水銀系の化合物であるチメロサールが、大人1人当たりで5μg、お子さん1人当たりで2.5μg含まれていますが、ヘプタバックス-Uには、チメロサールは含まれていません。ただ、海外のワクチンでは、大人1人当たりで25μgという、比較的高用量のチメロサールが、含まれているものも流通し認可されていますから、それほど神経質になる必要はないという考え方も出来ます。
なお、どちらかのワクチンの接種を1回行なった場合には、3回の接種は同種のワクチンで行なうのが、本来は望ましい。

四種混合ワクチン
四種混合ワクチンは、従来の三種混合ワクチンに不活化ポリオワクチンを混合したワクチンです。2012年11月から定期接種になりました。
そのため、注射回数が減るメリットは大きいです。このワクチンは定期接種で、予防接種法に基づき定期的に公費で接種することになります。
このワクチンで予防できるのは、
ジフテリア(Diphtheria):ノドが狭くなる病気
百日咳(Pertussis):咳がひどく100日近く咳が続く病気
破傷風(Tetanus):筋肉が硬直する病気で怪我が原因になる
ポリオ(Polio):手足、特に足が麻痺する病気の4つの病気です。
標準的な接種方法は生後3ヶ月に達した時から1歳までに1期初回接種の3回を終えてから、1年から1年半の間に追加を行います。
四種混合ワクチンとは別のワクチンを接種するときは、6日以上空けます。
できるだけ接種間隔を守ることが定期接種で推奨されますが、もし、風邪等で、予定通りできず間隔があいてしまっても、大事なのは回数ですので、規定されている回数を行うことになります。
なお、既に三種混合ワクチン接種を受けた人、不活化ポリオワクチン接種を受けた人は、原則として、四種混合ワクチン接種ができないことになっています。つまり、四種混合ワクチンを初めて接種する人が対象になっています。
4種混合ワクチンは「クアトロバック」と「テトラビック」の2製品があります。
以下は2製品の説明です。
一般名;沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ(セービン株)混合ワクチン
商品名:クアトロバック皮下注シリンジ(化学及血清療法研究所製)
:テトラビック皮下注シリンジ(阪大微生物病研究会製)
※4回の接種は必ずしも同一のワクチンでなくても構いません。併用は可能です。

 

 
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